副業の確定申告って必要?いくらから申告するか&やり方を解説

2026年分の所得税から、基礎控除は最大104万円まで引き上げられました。
それでも、会社員やパートで働きながら副業をしている人が確定申告を求められるラインは、去年と同じ「20万円」です。
控除が増えたのに申告ラインは動かない。この二本立ての仕組みが、副業の確定申告をわかりにくくしています。
在宅で図解デザインやCanvaでのバナー制作、SNS運用代行などを始めた方から特に多いのが、「収入が少ないうちは何もしなくていいのか」「経費はどこまで認められるのか」という疑問です。
この記事では、副業の確定申告がいくらから必要になるのかを立場別の判定表で整理し、所得の計算方法、申告の7ステップ、しなかった場合のペナルティまで順番に解説します。
数字はすべて2026年7月時点の制度にもとづいています。読み終わるころには、自分が申告する必要があるかどうか判断できるようになります。
結論からお伝えすると、1か所から給与をもらって年末調整を受けている人は、副業の所得が年間20万円を超えた時点で確定申告が必要になります。給与収入がない人は、2026年分なら所得104万円が目安です。
判定するのは売上ではなく、経費を引いたあとの「所得」です。20万円以下で確定申告が不要な場合でも、住民税の申告は別に必要になります。
副業の確定申告はいくらから必要?立場別の判定ライン一覧
副業の確定申告がいくらから必要かは、あなたが給与をもらっているかどうかで変わります。会社員・パートは所得20万円超、給与収入がない人は所得104万円超(2026年分)が基準です。まずは自分がどのパターンに当てはまるか確認しましょう。
同じ「副業で30万円稼いだ」という状況でも、申告が必要かどうかは働き方によって変わります。
下の表で、自分の立場に近い行を探してみてください。
| あなたの立場 | 確定申告が必要になるライン(2026年分) | あわせて確認したいこと |
|---|---|---|
| 1か所から給与をもらい年末調整済み(会社員・パート) | 副業の所得が20万円を超えたとき | 20万円以下でも住民税の申告は必要 |
| 給与収入がない(専業主婦・主夫、在宅ワーク専業) | 所得が104万円を超えたときが目安 | 住民税は43万円前後から課税される |
| 2か所以上から給与をもらっている | 年末調整されていない給与が20万円を超えたとき | 副業がアルバイトなら少額でも申告が安全 |
| 本業の給与収入が2,000万円を超える | 副業の金額に関係なく必要 | 年末調整の対象外になる |
| 公的年金が400万円以下+副業 | 年金以外の所得が20万円を超えたとき | 源泉徴収されていれば還付の可能性あり |
会社員・パートの副業は「所得20万円超」から確定申告
1か所の勤務先から給与をもらい、年末調整を受けている人は、給与以外の所得の合計が20万円以下であれば所得税の確定申告をしなくてよい仕組みになっています。
これが「20万円ルール」と呼ばれるものです。
逆に言えば、副業の所得が20万1円になった時点で申告義務が発生します。
ここで気をつけたいのが、20万円は副業ごとの金額ではなく、給与以外の所得の合計だという点です。
クラウドソーシングで15万円、フリマアプリの転売で8万円という場合、合計23万円になるので申告が必要になります。
パートで働いている方も同じ扱いです。
パート先が年末調整をしてくれていて、そのほかに在宅の副業がある場合、副業側の所得が20万円を超えるかどうかで判断します。
給与をもらっていない人は「所得104万円超」が2026年分の目安
専業主婦や、勤務先を辞めて在宅ワークだけで収入を得ている方は、20万円ルールを使えません。
20万円ルールは、年末調整で1年分の税額が確定している給与所得者向けの特例だからです。
この場合の判断基準になるのが、所得から差し引ける控除の合計額です。
所得が控除の合計を下回れば所得税は0円になり、確定申告の義務もなくなります。
2026年分(令和8年分)の基礎控除は、本則62万円に特例加算42万円が上乗せされ、合計所得金額が489万円以下の人は一律104万円になりました(出典:財務省「令和8年度税制改正の大綱」、国税庁「令和8年4月 源泉所得税の改正のあらまし」)。
つまり、ほかに収入がなく副業だけで生活している場合、経費を引いたあとの所得が104万円以下であれば所得税はかかりません。
年間20万円の保険料を払っていれば、実質的な非課税ラインは124万円まで広がる計算になります。
副業先からも給与をもらっている場合は20万円ルールが使えない
副業がアルバイトやパートで、給与として支払われている場合は注意が必要です。
2か所以上から給与をもらうと、年末調整はメインの1か所でしか受けられません。
年末調整されていない側の給与収入が20万円を超えれば、確定申告が必要になります。
さらに、2か所給与の場合は本業と副業を合算して税額を計算し直さないと、税金が足りなくなるケースがよくあります。
20万円・104万円は「収入」ではなく「所得」で判定する
確定申告がいくらから必要かを判定するのは、振り込まれた金額ではなく「収入−経費」で計算した所得です。副業の売上が25万円でも経費が8万円あれば所得は17万円となり、申告は不要になります。経費を正しく集められるかどうかで結論が変わります。
「副業で20万円以上稼いだら申告」と覚えている方が多いのですが、正確には所得で判定します。
収入と所得は別のものです。
収入とは、クライアントから受け取った報酬の合計額のことです。
所得とは、その収入から必要経費を差し引いた残りの金額です。
収入と所得の違いを図解デザイン副業の例で計算
実際の数字で見てみましょう。
1年間で図解制作の案件を受け、報酬の合計が32万円だったケースを考えます。
この年に、デザインツールの有料プラン、素材サイトの月額利用料、オンライン講座の受講料、作業用のモニターを購入し、合計で14万円かかったとします。
この場合の所得は、32万円から14万円を引いた18万円です。
20万円以下なので、所得税の確定申告は不要という結論になります。
報酬額だけを見て「32万円だから申告が必要」と判断すると、しなくてもよい申告をすることになります。
逆に、経費がほとんどないSNS運用代行のような副業では、収入がほぼそのまま所得になります。
報酬22万円で経費が1万円なら所得は21万円となり、この時点で申告義務が発生します。
副業の経費にできるもの・できないもの
経費として認められるのは、その副業の売上を得るために直接必要だった支出です。
在宅でデザインやSNS運用の副業をしている場合、次のような支出が経費の候補になります。
- ツール・サブスク費用:デザインツールや素材サイト、スケジュール管理ツールの利用料
- 機材費:パソコン、モニター、タブレット、外付けドライブなど(10万円以上は減価償却の対象)
- 学習費:業務に直結するオンライン講座、書籍、セミナー参加費
- 通信費・水道光熱費:副業で使った割合分だけを按分して計上
- 支払手数料:クラウドソーシングのシステム利用料、振込手数料
一方で、家族との食事代、副業と関係のない洋服代、健康診断費用などは経費になりません。
「仕事のモチベーションのため」という理由づけは通らないと考えておくと安全です。
自宅で作業する場合の家事按分の考え方
自宅の一部を作業スペースにしている場合、家賃や電気代の一部を経費にできます。
これを家事按分といいます。
按分の基準として使われるのは、面積比か使用時間比です。
たとえば家賃10万円の住まいで、6畳の一室のうち3畳分を作業机とパソコン置き場に使っているとします。
住まい全体に対する作業スペースの割合が15%なら、月1.5万円、年間18万円が経費の候補になります。
電気代は使用時間で按分するのが一般的です。
1日3時間、週5日作業しているなら、1週間168時間のうち15時間で約9%という計算です。
按分の根拠は、面積のメモや作業時間の記録として残しておきます。
税務署から質問されたときに説明できる状態にしておけば十分です。
副業の確定申告が20万円以下でも必要・したほうがよい5つのケース
20万円ルールに当てはまっても、確定申告をしたほうが得になるケースがあります。特にデザイン料や原稿料は支払時に10.21%が源泉徴収されているため、申告すると差額が戻ってくる可能性が高いです。損をしないために5つのパターンを確認しましょう。
ここからは、申告義務がなくても申告したほうがよいケースを見ていきます。
「不要」と「したほうが得」は別の話です。
ケース1:デザイン料や原稿料が源泉徴収されている
図解制作、イラスト、ロゴやバナーのデザイン、記事執筆の報酬は、支払う側に源泉徴収の義務があります。
所得税法204条1項1号で「原稿の報酬」「デザインの報酬」が対象として定められているためです(出典:国税庁「所得税基本通達 204-6、204-7」https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/36/02.htm)。
源泉徴収される割合は、1回の支払額が100万円以下なら10.21%です。
10万円の請求に対して1万210円が引かれ、8万9,790円が振り込まれる形になります。
この1万210円は所得税の前払いです。
年間の所得が少なくて本来の税額が0円だった場合、申告すれば全額戻ってきます。
年間の報酬が18万円で、そのすべてから源泉徴収されていたケースを考えてみましょう。
差し引かれた金額は約1万8,000円です。
所得が20万円以下なので申告義務はありませんが、申告しなければこの1万8,000円は戻ってきません。
一方で、コーディングやプログラミング、システム開発の報酬は源泉徴収の対象外とされています。
クラウドソーシング経由の案件も、源泉徴収されていないことが少なくありません。
入金明細を見て、報酬額と振込額に差があるかどうかを確認してみてください。
ケース2:医療費控除やふるさと納税で還付を受けたい
年間の医療費が10万円を超えた年や、ふるさと納税でワンストップ特例を使わなかった年は、確定申告をすると税金が戻ります。
この場合、副業の所得が20万円以下であっても、申告書には副業分も記載する必要があります。
確定申告をする以上、その年のすべての所得を書くのがルールだからです。
「還付だけ受けて副業分は省く」ということはできません。
還付額と副業分の納税額を比べて、どちらが有利か計算してから決めるとよいでしょう。
ケース3:2か所以上から給与を受け取っている
先ほど触れたとおり、副業がアルバイトなど給与での支払いの場合は20万円ルールの対象外です。
年末調整されていない給与が20万円以下でも、合算すると税額が変わることがあります。
特に、本業と副業の両方で扶養控除等申告書を出してしまっている場合は、税額が不足している可能性が高いです。
ケース4:インボイス(適格請求書発行事業者)に登録している
取引先から求められてインボイスの登録をした場合、売上が1,000万円以下でも消費税の申告と納税が必要になります。
所得税の確定申告が20万円ルールで不要になっても、消費税の申告義務は残ります。
消費税の申告期限は所得税より半月ほど遅く、翌年3月31日です。
登録した記憶があいまいな方は、国税庁の適格請求書発行事業者公表サイトで自分の名前を検索して確認できます。
ケース5:副業が赤字で本業の給与と相殺したい
副業を事業所得として申告できる場合、赤字を給与所得と相殺(損益通算)できます。
開業初年度に機材やソフトをそろえて赤字になったようなケースでは、申告することで本業で払いすぎた所得税が戻る可能性があります。
ただし、雑所得の赤字は給与所得と相殺できません。
この違いは後の章で詳しく説明します。
確定申告が不要でも住民税の申告はいくらからでも必要
20万円ルールは所得税だけの特例で、住民税には存在しません。副業の所得が1円でもあれば、住んでいる市区町村への住民税の申告が必要です。住民税の基礎控除は43万円のまま据え置かれているため、所得税がゼロでも住民税がかかるケースがあります。
ここが副業の税金でもっとも見落とされやすい部分です。
「20万円以下だから何もしなくていい」という理解は、住民税については当てはまりません。
20万円ルールは住民税に適用されない
住民税は前年の所得に対して、その年の1月1日に住んでいた市区町村が課税します。
会社員の場合、給与分の住民税は勤務先が給与から天引きして納めています。
ところが副業分の所得は勤務先が把握していないため、自分で申告しないと市区町村に情報が届きません。
副業の所得が20万円以下で所得税の確定申告をしなかった場合は、市区町村の窓口に住民税の申告書を提出します。
逆に、確定申告をした場合は税務署から市区町村へ情報が回るため、住民税の申告は不要になります。
申告の手間で考えると、20万円をわずかに下回るくらいの所得なら、確定申告をまとめてしまったほうが楽なこともあります。
住民税の基礎控除は43万円のまま据え置かれている
2025年と2026年の税制改正で大きく引き上げられたのは、所得税の基礎控除と給与所得控除です。
住民税については、給与所得控除は引き上げられましたが、基礎控除は43万円のまま変わっていません。
この差が、副業をしている方にとっての落とし穴になります。
給与収入がなく副業だけで年間60万円の所得がある方の場合、所得税は基礎控除104万円の範囲内なので0円です。
一方の住民税は、43万円を超える17万円部分におおよそ10%がかかり、1万7,000円前後の負担が生じます。
「所得税がかからないと聞いていたのに、6月に住民税の納付書が届いた」という戸惑いは、この仕組みから生まれます。
なお、住民税の均等割が非課税になる限度額は自治体ごとに異なり、単身の場合は合計所得45万円前後が目安です。
正確なラインはお住まいの市区町村のサイトで確認してください。
住民税の申告期限と手続きの流れ
住民税の申告期限は、確定申告と同じく翌年3月15日が原則です。
必要なものは、副業の収入と経費がわかる資料、勤務先の源泉徴収票、マイナンバーカードや本人確認書類です。
多くの自治体では申告書をサイトからダウンロードでき、郵送での提出にも対応しています。
窓口に並ぶ必要はないので、確定申告シーズンの混雑を避けたい方には郵送が向いています。
副業の所得はいくらから税金がかかる?2026年分の税額シミュレーション
副業にかかる税金は、おおよそ「副業の所得×(所得税率+住民税10%)」で概算できます。所得税率5%の人なら副業所得20万円で約3万円、100万円で約15万円が目安です。実際の税率は本業の課税所得によって変わります。
申告が必要だとわかったら、次に気になるのが実際の負担額でしょう。
副業分の税金は、本業の所得に副業の所得を上乗せして計算します。
そのため、同じ副業所得でも本業の年収によって負担額が変わります。
副業所得ごとの税負担の目安
目安としては、副業の所得に「所得税率+住民税10%」をかけるとおおよその金額が出ます。
| 副業の所得 | 所得税(税率5%の場合) | 住民税(10%) | 合計の目安 |
|---|---|---|---|
| 20万円 | 約1万円 | 約2万円 | 約3万円 |
| 50万円 | 約2.5万円 | 約5万円 | 約7.5万円 |
| 100万円 | 約5万円 | 約10万円 | 約15万円 |
所得税率が10%の人なら、所得税部分は表の2倍になります。
これに復興特別所得税として所得税額の2.1%が上乗せされます。
本業の年収別に見た所得税率の違い
所得税は課税所得に応じて5%から45%まで段階的に上がります。
課税所得とは、給与所得や副業の所得を合計し、そこから基礎控除や社会保険料控除を引いた金額です。
本業の給与収入が400万円の方の例で見てみましょう。
給与所得控除を引いた給与所得はおよそ276万円です。
そこから基礎控除104万円と社会保険料控除60万円前後を引くと、課税所得は110万円ほどになります。
この段階では税率5%のゾーンです。
副業の所得が100万円加わると課税所得は210万円になり、195万円を超えた部分だけ税率20%が適用されます。
つまり副業所得が増えると、途中から税率が上がる可能性があります。
納税資金の準備としては、副業の入金額の20%前後を別口座に取り分けておくと慌てずに済みます。
手取りを増やすために先に確認したいこと
税負担を抑える方法として、まず取り組みやすいのが経費の取りこぼしを防ぐことです。
レシートや領収書、クラウドソーシングの明細をひとつのフォルダにまとめておくだけで、計上できる金額が変わります。
iDeCoや小規模企業共済といった制度も所得控除の対象になりますが、いずれも長期の資金拘束があります。
副業の収入が安定してから検討するほうが無理がありません。
なお、「経費にできる」「税金がかからない」といった説明で高額な情報商材やコンサルを勧めてくる事業者には注意が必要です。
手口の見分け方は副業詐欺の手口とチェックポイントの記事で詳しく解説しています。
副業の所得区分は?雑所得と事業所得の違いといくらから変わるのか
副業の所得は、雑所得か事業所得のどちらかで申告します。区分を決める目安は収入金額ではなく帳簿書類の保存の有無で、帳簿があれば収入300万円以下でも原則として事業所得になります。事業所得なら青色申告や損益通算が使えます。
ここで所得区分の話に入ります。
申告が必要になったとき、副業の収入をどの区分に入れるかで使える制度が変わります。
雑所得とは?副業を始めたばかりの人が使う区分
雑所得とは、給与所得や事業所得など9種類のどの所得にも当てはまらない所得のことです。
副業として単発でデザイン案件を受けている段階、月数万円の報酬が入る段階では、雑所得で申告するのが一般的です。
雑所得のメリットは手続きが簡単な点です。
開業届も青色申告承認申請書も必要なく、確定申告書に収入と経費を書くだけで完結します。
デメリットは、赤字を給与所得と相殺できないこと、青色申告特別控除が使えないことです。
事業所得とは?帳簿があれば収入300万円以下でも認められる
事業所得とは、継続して営む事業から生じる所得のことです。
2022年10月に国税庁の所得税基本通達が改正され、事業所得と雑所得の区分は帳簿書類の記帳と保存があるかどうかで判断する考え方が示されました。
この改正により、収入金額が300万円以下であっても、帳簿を作成して保存していれば原則として事業所得に区分されます。
反対に、帳簿の保存がなければ基本的に雑所得の扱いになります。
ただし帳簿があれば必ず事業所得になるわけではありません。
収入がごく少額で、社会通念上事業と呼べる規模に達していない場合は雑所得とされます。
年間数万円の収入で事業所得を主張するのは難しいと考えておくとよいでしょう。
収入300万円・1,000万円を超えると増える義務
雑所得でも、収入金額が一定額を超えると義務が発生します。
前々年の業務に係る雑所得の収入金額が300万円を超える場合、請求書や領収書などの現金預金取引等関係書類を保存する義務があります。
判定するのは所得ではなく収入です。
さらに前々年の収入が1,000万円を超えると、確定申告書に収支内訳書を添付する必要があります。
副業が伸びてきたら、早めに帳簿をつける習慣に切り替えたほうが手間が少なくなります。
副業の確定申告のやり方7ステップ
副業の確定申告は、収入と経費の集計から始めて、e-Taxでの送信まで7ステップで完了します。作業時間の合計は初めての方でも4〜6時間程度、費用は無料から数千円が目安です。まずは入金記録を集めるところから始めましょう。
ここからは実際の手順です。
令和8年分(2026年1月〜12月の所得)の確定申告期間は、2027年2月16日から3月15日までです。
還付を受けるだけの申告なら、翌年1月1日から提出できます。
- ステップ1:1年分の入金記録を集める
クラウドソーシングの報酬明細、銀行口座の入金履歴、請求書の控えを1か所に集めます。所要時間は1〜3時間、費用は0円です。今日から始められる作業なので、まずはここから手をつけてください。 - ステップ2:経費のレシートと明細をまとめる
ツールの利用料はクレジットカードの明細、機材は購入時のレシートで確認します。所要時間は1〜2時間です。カード明細をダウンロードして表計算ソフトに貼り付けると集計が早く進みます。 - ステップ3:所得を計算して申告が必要か判定する
収入から経費を引いて所得を出し、20万円または104万円のラインと比べます。所要時間は30分程度です。ここで不要と判断できれば、住民税の申告に切り替えます。 - ステップ4:雑所得か事業所得かを決める
帳簿の有無と副業の規模から区分を決めます。事業所得で青色申告をしたい場合は、開業届と青色申告承認申請書の提出が前提になります。青色申告承認申請書の期限は、適用を受けたい年の3月15日までです。 - ステップ5:必要書類をそろえる
本業の源泉徴収票、副業の収入と経費の集計表、生命保険料や国民年金の控除証明書、マイナンバーカードを用意します。所要時間は30分から1時間です。控除証明書はマイナポータル連携で自動取得できるものもあります。 - ステップ6:確定申告書を作成する
国税庁の「確定申告書等作成コーナー」なら無料で作成でき、スマートフォンだけでも完結します。会計ソフトを使う場合の費用は年間1万円前後が目安です。所要時間は初めてなら2〜3時間見ておくと安心です。 - ステップ7:e-Taxで送信して納付または還付を受ける
マイナンバーカードをスマートフォンで読み取って送信します。所要時間は15〜30分です。納付期限は3月15日、還付金は申告から1か月〜1か月半ほどで振り込まれます。
提出方法は、e-Tax、郵送、税務署への持ち込みの3つから選べます。
令和6年分の確定申告では、7割以上の人がe-Taxを利用しました(出典:財務省「令和7年分の確定申告 スマホとマイナポータル連携でもっと便利に!」https://www.mof.go.jp/public_relations/finance/202512/202512c.html)。
なお、2026年分の確定申告からは、確定申告会場での休日の相談対応を実施しない予定とされています(出典:国税庁)。
会場での相談を予定している方は、平日のスケジュールを早めに確保しておいてください。
青色申告と白色申告はどちらが向いている?2027年分からの改正も確認
白色申告は手続きが簡単で、副業を始めたばかりの方に向いています。青色申告は最大65万円の特別控除が使える一方、複式簿記と事前申請が必要です。2027年分からは控除額が最大75万円に引き上げられ、要件も変わります。
事業所得で申告する場合、白色申告と青色申告のどちらかを選べます。
雑所得の場合はこの選択肢自体がありません。
| 比較項目 | 白色申告 | 青色申告 |
|---|---|---|
| 事前の申請 | 不要 | 青色申告承認申請書が必要 |
| 記帳の方法 | 単式簿記でよい | 複式簿記(10万円控除は単式でも可) |
| 特別控除 | なし | 最大65万円(2026年分) |
| 赤字の繰越 | できない | 3年間繰り越せる |
| 向いている人 | 副業を始めた1〜2年目の人 | 年間の所得が数十万円を超えてきた人 |
白色申告が向いている人
副業を始めて間もなく、年間の所得が20万円から40万円くらいの方は白色申告で十分です。
収入と経費を集計して収支内訳書を作るだけなので、会計の知識がなくても進められます。
まずは白色で1年経験して、翌年から青色に切り替える流れも一般的です。
青色申告が向いている人
年間の所得が50万円を超えてきた方は、青色申告を検討する価値があります。
2026年分の場合、複式簿記で記帳してe-Taxで申告すれば最大65万円の特別控除が受けられます。
所得が65万円なら課税対象を0円まで下げられる計算です。
会計ソフトを使えば複式簿記の知識がなくても帳簿は作れます。
ただし、青色申告承認申請書を期限内に出していないとその年は適用されません。
開業から2か月以内、または適用を受けたい年の3月15日までが期限です。
2027年分から青色申告特別控除は最大75万円へ
令和8年度税制改正により、2027年分(令和9年分)の所得税から青色申告特別控除の仕組みが変わります。
変更点は次のとおりです。
- 75万円控除の新設:複式簿記に加えて、e-Tax申告と優良な電子帳簿の保存または請求書データ等との自動連携が条件
- 65万円控除にe-Taxが必須化:これまでの選択制から、電子申告が前提に変わる
- 55万円控除の廃止:紙で申告する複式簿記は10万円控除に下がる
優良な電子帳簿の要件を満たすには、会計ソフトの設定をその年の1月1日時点でオンにしておく必要があるとされています。
2027年分から75万円控除を狙うなら、2026年中に会計ソフトの準備を進めておくのが現実的です。
※要確認:2027年分の75万円控除に使用する届出書の様式は、2026年7月時点で国税庁から正式に公表されていません。最新の様式は申告時期に国税庁サイトでご確認ください。
副業の確定申告をしないとどうなる?無申告のペナルティ
申告義務があるのに確定申告をしないと、無申告加算税と延滞税が加算されます。2026年の延滞税は納期限から2か月以内が年2.8%、それを超えると年9.1%です。税務調査前に自分から申告すれば、加算税は5%まで抑えられます。
「少額だから見つからないだろう」という判断はおすすめできません。
クライアントが税務署に提出する支払調書、クラウドソーシング事業者の記録、銀行口座の入出金から所得は把握されます。
無申告加算税は最大30%
期限内に申告しなかった場合に課されるのが無申告加算税です。
税率は、いつ申告したかによって変わります。
- 税務調査の通知前に自分から申告:本来の税額の5%
- 調査の通知後、更正を予知する前:50万円までは10%、50万円超300万円以下は15%、300万円超は25%
- 調査で指摘されたあと:50万円までは15%、50万円超300万円以下は20%、300万円超は30%
売上を意図的に隠していたと判断された場合は、無申告加算税に代えて40%の重加算税が課されます。
なお、期限から1か月以内に自主的に申告し、税額を全額納付しているなど一定の要件を満たせば、無申告加算税がかからないケースもあります。
気づいた時点で早く動くほど負担は軽くなります。
延滞税は2026年で年2.8%と年9.1%
延滞税は、納期限の翌日から実際に納めるまでの日数に対してかかる利息のような税金です。
2026年(令和8年)の割合は、納期限の翌日から2か月以内が年2.8%、2か月を超えた日以後が年9.1%です。
本来の税額が10万円で1年間放置した場合、延滞税は9,000円前後になります。
加算税と合わせると、本来払うはずだった額を大きく上回ります。
過去の分を申告し忘れていたときの対処
過去の年分に申告漏れがあった場合は、期限後申告として提出できます。
還付になる申告であれば、その年の翌年1月1日から5年以内なら受け付けてもらえます。
源泉徴収されていた報酬があり、本来なら還付だったというケースでは、過去5年分をさかのぼって取り戻せる可能性があります。
判断に迷う場合は、税務署の窓口か税理士に相談してください。
確定申告をすると会社に副業が知られる?住民税の徴収方法
確定申告自体で勤務先に通知が行くことはありません。ただし副業分の住民税が給与から天引きされると、金額の変化から気づかれる可能性があります。事業所得や雑所得なら、住民税を自分で納める普通徴収を選べる場合があります。
勤務先の就業規則で副業が認められているかどうかは、事前に確認しておきたいところです。
そのうえで、税務手続きから知られる可能性について整理します。
税務署から勤務先へ連絡が行くことはない
確定申告書を提出しても、税務署が勤務先に副業の内容を知らせることはありません。
気づかれるきっかけになるのは、住民税の通知です。
市区町村は、確定申告や住民税申告の情報をもとに住民税額を計算し、勤務先に通知します。
勤務先の経理担当者から見ると、給与額に対して住民税が多いという状態になります。
普通徴収を選べるかどうかは所得の種類で変わる
住民税の納め方には、給与から天引きされる特別徴収と、自分で納付書で納める普通徴収があります。
副業が事業所得または雑所得の場合、確定申告書の第二表にある「住民税に関する事項」で、給与以外の所得分について自分で納付を選べます。
この欄にチェックを入れると、副業分の住民税は自宅に届く納付書で納める形になります。
ただし、副業がアルバイトなど給与所得の場合は、原則として特別徴収になります。
また、自治体の方針によって普通徴収が認められないこともあります。
確実に知りたい場合は、市区町村の住民税担当課に問い合わせるのが早いです。
在宅の副業を選ぶときに確認したいこと
就業規則との関係で考えると、雇用契約を結ばずに成果物を納品する形の仕事は調整しやすい傾向があります。
図解デザインやバナー制作、資料作成などは、勤務時間の重複が起きにくいためです。
どんな在宅の仕事があるかを知りたい方は、Canvaデザイナーの仕事内容の記事や図解デザイナーになる方法の記事も参考になります。
収入を安全に増やす考え方については、副業で安全にお金を稼ぐ方法の記事でまとめています。
副業の確定申告に関するよくある質問
検索されることの多い疑問に、具体的な数字で回答します。20万円ルールの範囲、扶養との関係、スマホだけで申告できるかなど、判断に迷いやすい点を7問に整理しました。
副業は所得がいくらから税金がかかりますか?
会社員やパートとして給与をもらっている方は、副業の所得が1円でも住民税の課税対象になります。
所得税については、副業の所得が20万円を超えた時点で確定申告と納税が必要です。
給与収入がない方は、2026年分なら所得104万円までは所得税がかかりませんが、住民税は43万円前後を超えると発生します。
確定申告をしなくていいダブルワークはいくらまでですか?
副業が業務委託などで給与以外の形の場合、所得20万円までなら所得税の確定申告は不要です。
副業がアルバイトで給与として支払われている場合は、年末調整されていない給与収入が20万円までが目安になります。
ただし2か所給与では税額が不足しやすいため、金額が小さくても申告して精算するほうが安全です。
どちらの場合も住民税の申告は必要です。
副業の所得が20万円を超えたのに確定申告しないとどうなりますか?
無申告加算税と延滞税が加算されます。
税務調査で指摘された場合、本来の税額が50万円までなら15%の無申告加算税がかかります。
延滞税は2026年で年2.8%から9.1%です。
本来の税額が10万円だった場合、1年放置すると合計で2万5,000円前後の追加負担になる計算です。
調査の通知前に自分から申告すれば加算税は5%に下がります。
確定申告をすると会社に副業がバレますか?
確定申告そのものが勤務先に通知されることはありません。
気づかれる経路は住民税の通知です。
副業が事業所得や雑所得であれば、確定申告書の第二表で住民税を自分で納付する方法を選べます。
副業がアルバイトの場合は給与から天引きされるため、この方法は使えません。
夫の扶養に入っています。副業はいくらまでなら扶養から外れませんか?
税金の扶養と社会保険の扶養は基準が別です。
税金面では、2026年分から配偶者控除の対象となる合計所得金額の要件が58万円以下から62万円以下に引き上げられました。
副業の所得が62万円以下なら、配偶者控除の判定上は範囲内です。
社会保険の扶養は年収130万円が目安で、こちらは税金の改正とは連動していません。
健康保険組合によって経費の差し引き方が異なるため、加入している保険者に確認してください。
メルカリやハンドメイド販売も確定申告が必要ですか?
自分が使っていた衣類や家具、家電を売った場合は生活用動産の譲渡にあたり、原則として課税されません。
一方で、仕入れて転売する行為やハンドメイド作品の販売は、営利目的の取引として所得の対象になります。
この場合は雑所得または事業所得として計算し、他の副業所得と合算して20万円を超えるかどうかを判定します。
ただし、1個または1組の価額が30万円を超える貴金属や宝石、美術品を売った場合は、生活用動産でも課税対象になります。
確定申告はスマホだけでできますか?
できます。
国税庁の確定申告書等作成コーナーはスマートフォンに対応しており、雑所得や事業所得の申告も画面の案内に沿って進められます。
マイナンバーカードをスマートフォンで読み取れば、そのままe-Taxで送信できます。
Android端末に加えてiPhoneでもスマートフォン用電子証明書に対応しており、カードを毎回読み取る手間が減りました。
マイナポータル連携を設定しておくと、源泉徴収票や生命保険料控除の証明書データが自動で入力されます。
まとめ:副業の確定申告はいくらからか把握して、早めに準備を始めましょう
副業の確定申告が必要になるラインは、給与所得者なら所得20万円超、給与収入がない方なら所得104万円超(2026年分)です。判定は収入ではなく所得で行い、20万円以下でも住民税の申告は必要になります。
ここまで、副業の確定申告がいくらから必要になるのかを立場別に整理し、所得の計算から申告手順、ペナルティまで見てきました。
最後に要点を振り返ります。
- 会社員・パートの基準:給与以外の所得の合計が20万円を超えたら確定申告が必要
- 給与収入がない人の基準:2026年分は基礎控除104万円が目安、住民税は43万円前後から
- 判定の対象:振り込まれた金額ではなく、経費を引いたあとの所得
- 住民税は別ルール:20万円ルールは所得税だけの特例で、住民税の申告は所得があれば必要
- デザイン料は源泉徴収済み:10.21%が前払いされているため、申告すると戻る可能性がある
- 2027年分からの改正:青色申告特別控除が最大75万円になり、e-Taxが必須になる
制度の話が続くと難しく感じますが、実際にやることは「1年分の入金と経費を集めて、引き算をする」だけです。
この作業を年末にまとめてやると大変ですが、月に一度15分だけ時間を取れば無理なく進みます。
【今日からできるアクションステップ】
- クラウドソーシングやクライアントからの入金明細を、今年の分だけダウンロードしてフォルダにまとめる
- 報酬額と振込額を見比べて、源泉徴収されている案件があるかを確認する
- 収入から経費を引いて、今の時点で20万円(または104万円)を超えそうか計算してみる
この3つが終われば、確定申告の準備はほぼ半分まで進んだ状態です。
金額の基準がわかれば、収入を増やすことにも前向きに取り組めます。
副業の収入が育っていく過程を、数字で確認しながら進めていってください。